2.4GHzまで対応のラジコン用検波器を試作してみる

 

 今まで製作してきたRCチェッカーでは2.4GHzの電波がチェック出来ないので、新たに2.4GHzの電波を目に見える様にする簡単な検知器を作れないかと考えた。勿論、従来の周波数のチェックも出来なければ成らない。

そこで考えたのがゲルマニウムダイオードラジオの原理で降下電圧の低いダイオードを用いて電波を整流し、LEDを光らせるというものだ。

 今まで製作したRCチェッカーと基本的な回路は同じで、倍電圧回路というものを利用している。コンデンサとダイオードを用いて半波整流に用いる回路で、コンデンサを充放電させ、コンデンサがポンプのように働くのでチャージポンプ等と呼ばれたりする。

  従来は整流した電流でいきなりLEDを光らせていたので、電波強度が低いと光らないので使い勝手が悪いものだった。多分、電波強度が低すぎて全然整流すらできない始末だったのであろう。

 

                                倍電圧回路による検波回路

 

この回路のコンデンサとダイオードの部分が倍電圧回路である。

どういう仕組みかと言うと

 

 

 1、+の電位が回路にかかった場合、図のようにLED近くのコンデンサに電荷が溜まる。

 

2、次にマイナスの電位が回路にかかった場合、図のダイオードの向きから初段のコンデンサに電荷が溜まる。

 

3、次に回路に再びプラスの電位がかかった時に初段のコンデンサに溜まった電荷とLED近くのコンデンサに溜まった電荷がプラスされて電荷は2倍になり出力されるという仕組みである。単純に電圧は2倍になる。ちなみにこれを多段に組んだものをコッククロフトウォルトン回路と言う。

この回路を使って27MHz2.4GHzのラジコンから電波が出ているかをチェックできる検知器を製作する。

 

制作の実際

 2.4GHz帯の電波が出ているかどうかだけが判れば良い事として、まず考えたのは電波をアンテナでキャッチしてそれを整流してLEDを光らせる事です。下が全体の回路図である。

この回路図はまずアンテナから電波を取り入れ2つのコンデンサと2つのダイオードからなる回路を通してからオペアンプで増幅してLEDにつなげている。

 ここで使用しているダイオードだが、VFの低い1SS108というダイオードを使用する事にした。(SS108の入手先:サトー電気 http://www.maroon.dti.ne.jp/satodenki/ ¥50+消費税 10ケ¥400+消費税 日立 検波。SW 30V15mA)

 

このダイオードは通常のダイオードのVF0.6Vと比べて遥かにVFが低く、0.1V0.2VVFしか無いので微小な電流でもダイオードを通過できて検波できるという事になる。

  VFとは順電圧 (Forward Voltage ) の事で、これに対し逆電圧がVR ( Reverse Voltage ) である。ショットキーダイオードは通常のダイオードに比べ、順方向の電圧降下が低く( 0.20.3V。通常のダイオードは0.6V程度 ) 逆回復時間が短いため、高周波の整流が可能である。

 

実際にブレッドボードに組んでみた。

 オペアンプは安い汎用のオペアンプであるLM358というオペアンプを利用した。(LM358N入手先秋月電子(6個入)1パック ¥100(税込))

 LEDの前に電流制限抵抗(R4)を入れているが、無くても微弱の電波の検出する場合、それほど電流は流れ過ぎず、むしろ明るさが欲しいくらいなので抵抗は無くてもよいかも、実験的に調整してほしい。因みに、2.4GHzプロポの総出力は最大100mW。これで日本製も海外製も技術適合証明を受けている。おもちゃは技術適合証明の適用外の様なので更に低出力ではないだろうか。

 増幅率はオペアンプの2番につながっている(R2)1KΩ2番と1番につながっている(R3)1MΩの比率によってきまる。

 今回の回路での倍率は11MΩ/1kΩでおおよそ1000倍である。

増幅率はR1の抵抗とRfの抵抗の比で決まる。厳密には1Rf/R1だ。覚えておこう。

 

wifi2.4GHz実験した、LEDは点滅を繰り返す。

 

試作例#1

 実際の製作では赤外線の検知器とメロディICを使ったスピーカーテスターも同じ筐体(単3乾電池4本のケース)に組み込んでみた。

  電池は単5電池を直列にしDC-DCコンバーターで5Vに昇圧している。これは、LM358Nは供給される電源電圧には無関係なのだが、電源の容量が小さいのでトコトン使い切るためである。百円ショップのスマホ等への充電用機器を分解して昇圧基板(DC-DCコンバーター)は取り出した。

 

 実際に制作した「製作例1」の内部の状態である。筐体の厚味に制限があるために組み込める厚さにする必要がある。

 Wifiの電波を本体から30cm離れた位置で受信できたので実用には差し支え無いであろう。

 部品配置や作り方で赤外線モジュールにノイズが入り、電波信号と同期して点滅する場合には下記の処置をすることを推奨する。

  

以下に配線図、部品配置図、結線図を掲載しますので参考になればと思う。

部品配置イメージ図

上の配置での結線状態。線は勿論基板の裏側にする。

 これを製作しょうとするドクターの方で、更に情報が必要な方は問い合わせ頂ければ結線図のミラー版等を含め資料を送ります。

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試作例#2

これはRCの検波器だけで製作した例。

 写真を見れば分かるようにスッキリとまとまっている。工作のレベルが高く確りした作りになっている。

 これの特徴は電源にある。オペアンプの動作電圧の関係で単3二本では電圧不足なので昇圧していることである。昇圧には百円ショップのスマホ充電器に組み込まれている昇圧基板を活用して4.8V得ている。これにより収容性が良くなるとともに乾電池をトコトンまで使い込めるというメリットが有る。

 感度を上げると共に筐体内の干渉を考慮してアンテナをコネクターを使った外付けにした。コネクターを使ったことにより持ち運びの利便性が向上している。

 良く観察すればわかるが、オペオンプに2732Dを使っているので1.6Vから動作することに成っているが、電圧が高いほうが感度が同じならば増幅は良くなる。

コンデンサやダイオードはハンダ付け面に実装されている。

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