断線箇所の特定判別器の制作

 断線したケーブルを被膜の上から断線箇所を判別できる機器の製作です。

 おもちゃ修理の中で多いものとして「断線」がありますが、断線かどうかの判断にはテスターを使って、リード線の端と端を検電棒でつないで断線していれば導通がないので判別ができます。

  所が、その線の何処で断線しているかはテスターでは判りません。よくする方法として、テスターを当てながら線の端から順に抑えたり、折り曲げたり窄めたり、時には線に針を刺して、等などしていませんか?

 長いリード線が何処かで断線してるようなとき、その場所が明らかに分かる時は、触ると柔らかかったりします。分からない場合、どんな方法でその場所を特定できるのでしょうか?

  断線した箇所が判別できたら治療がやり易く成るのではと考えました。何か無いかとWebで色々と検索してみましたが、おもちゃDr.に買えるような安価な物は在りませんし、結構理屈が難しい代物が多いです。

 比較的簡単に出来そうな物は磁場の変化を捉えて断線箇所を特定する方法のようです。これなら既に高周波の検出用にはラジコン電波の検出器を作っていますのでその応用で作ってみることにしました。

 高周波を出す為の装置としてラジコンの送信機が適当ですが手許にないのでオシレーターを代わりに使うことにしました。おもちゃDr.としてオシレーターを持っていると便利な時も有りますので一緒に筐体に収めてオシレーター単独でも使えるようにしました。

 

 

先ず、IC2LTC1799)で高周波を発振させ、その出力を検査したい被覆線に接続します。図中の青色の線

 

一方で、検波(検知)回路に接続されたアンテナ(検出器)を検査したい被覆線に沿って接続端から反対側に向かって移動させます。

 

被覆線に送り込まれた高周波エネルギーを検出するとIC1により増幅されLEDを発光させます。被覆線の内部の芯線が断線していると、破断個所から先にはエネルギーが送られないか送られたとしても著しくレベルが低くなりますので検出器で検知することが難しくなりLEDを発光させることが出来なくなります。

 

つまり接続端から検出器を配線に沿って移動させて行くときにLEDが発光していれば芯線は繋がっており、LEDが発光しなくなった箇所で芯線が破断していると見ることが出来ます。

 

芯線が複数ある場合は検査したい芯線以外の芯線はグランド(アース)に接続し検出の邪魔をしないようにします。芯線が1本の時は特にグランドを使う必要はありません。

 

これが「断線箇所の特定判別器」の動作原理になります。

 

使い方

① 電源を入れオシレーターの出力線に披検査線を接続する。

      他に線が有るときはそれ等の線は全てアース線に接続する。

② 披検査線を検知エリアに沿わせる。

③ LEDが点灯する最適個所を探し、静かに披検査線をスライドする。

  注意:アンテナ線と披検査線の関係(太さ/被覆の状態等)で微妙に最適点が異なるので注意して下さい。

④ 断線してない箇所ではLEDが発光します。

⑤ LEDの発光が無くなった個所が断線が疑われるところ。

 

下の動画は、検査をしている時の状況です。黒いマークのある個所が断線しています。

内部の配置です。

 

差し替え抵抗(R5)の右側にある空色の部品は発振周波数設定用の「多回転半固定ボリューム」です。回路図では表現していませんが、計算通りの抵抗値は中々得られませんので微調整用に100KΩ位のものを挿入することをお勧めします。

断線個所特定だけに使う場合は微調整は必要ないので、7MHz以上の周波数に成るような固定抵抗を使ってください。

オシレータとしても使いたい時は、微調整用の多回転抵抗と固定抵抗との組み合わせか、両方とも多回転抵抗にする。あるいは固定抵抗をスイッチで選択できるようにしてジャストな値が得られるようにすることも考えられます。

 

回路図を下に示します。

配線図は下からダウンロード出来ます。

ATH005改回路図.jpg
JPEGファイル 116.2 KB

部品配置/配線図

 上の配線で赤色の部分は線同士が交差しているので裏側か被覆配線してください。

 

上図の断線検知部に接続したセンサー(アンテナ)で高周波信号を受信しダイオード(D1D2で検波します。

 その信号をオペアンプLM358(IC1で増幅しLEDを発光させます。高周波信号はオシレーター(IC2で創出します。IC2で発生した高周波エネルギーを信号出力から検査したい被覆線(断線している被覆線)の芯線に繋ぎます。

IC2のA,B,Cを選択使用するには切り替えスイッチが必要となります。

 電源は3.7Vとして、筐体内への収容を考えて単3と同じ大きさの14500リチュウムイオン二次電池しています。

 

R5の抵抗について

IC2の抵抗は値によって~30MHzまでの発振をする(電源電圧5Vの時)。多回転半固定抵抗を使うことをお薦めする。その場合は1MΩと1KΩを直列に接続し、1MΩを主抵抗に、1KΩを微調整用にすると使い勝手が良い。