おもちゃドクターの七つ道具

以下の資料は上記の「おもちゃドクター入門」より転載させていただきました。

1.ラジオペンチ

 写真のように細長く伸びたペンチです。部品や配線、針金などを曲げたり、折ったり,挟んだり、切ったりします。これがないと作業は中々はかどりません。もし、未だお持ちでなければ是非準備してください。小型のものもありますが、普通の大きさのもので十分です。

 

2.ニッパー

ニッパーは電子部品の足,被覆銅線,針金などを切るときに使います。買うときに注意することは,刃先までビックリ切れ刃が隙間なくそろっていることです。刃先までしっかり切れないととても使いにくいので注意しましょう。粗悪品が時々見つかります。

配線の外被を剥がすようにいくつかの穴が開いているものもあります。これは断線の補修をしたり,新しく配線のやり直しをするときハンダづけのために外被を剥がすときにここに狭んで引っ張るだけで中の導線が剥き出しになるので,作業がとても楽です。

 

3.ドライバー

ネジ回しです。最近はほとんどのネジが(十)型になっています,たまには(-)型のものも来ます。使わ凡ているネジも大小まちまちです。

 これに合うドライバーを使わないと,ネジの頭の溝を潰してしまって回せなくなりますので,大小何本かのサイズの物をそろえる必要あります。

 また,ごく小さい「精密ドライバー」という4~5本のものもたいへん重宝します。大抵のドライバーはネジを回す以外にも穴開け,カッター,スクレーパー,といった応用的な使い方もできます。

   ネジの頭の形は(十)や(-)ばかりではなく,六角,三角,花形,楕円,などいろいろと出ています。これは,一般の人が簡単に開けて事故が起こることを避けるために考えられているものですから,もし,このような形のネジを開けるときには十分に注意することが必要です。これらのドライバーは夫々の人が持つのではなく病院単位でそろえると良いでしょう。

4.ピンセット

  ピンセットはパーツ,ビスナット,配線,などを狭んこ運ぶ,固定する,拾う,などの作業にはどうしても必要な道具です。おもちやの修理に使うピンセットは出来るだけ頑丈なものが使いやすく,ものを狭んで握っても先端部がX型 曲がらないようなものを選んでください。おすすめはすコブラ型のものです。

 

5.ハンダ付け道具

  おもちやの修理は電池,電気回路と関係の深いものがたいへん多いので,前記のほかテスターとこのハンダごてはどうしても欠かせない重要な道具です。にも関わらず,その使い方が正しくないため修理がうまくできなかったり,あるいはとても手間がかかったりしている例を目にすることがあります。是非とも正しい使い方をマスターしてほしいのです。

 

ハンダごての種類

  もう今日では炭火で然して使うこてはないといっていいでしょう。電気ヒーターやガスバーナーで温めるものです。おもちや用に使いやすいのは15W~30W位の電気消費量のサイズのものです。最近はヒーターにニクロム線を使わずセラミックを使った,ヒーターの切れない,熱効率のよい製品が簡単に手に入ります。

 おもちやでは大きい面積や長い距離をハンダ付けすることはほとんどありませんから,熱容量の大きいものは必要ないのです。むしろ,細い配線やIC基板の細かい場所のハンダ付けに便利な細めのサイズのこて先のもののほうがいいのです。手で削った4B程度の鉛筆の芯の大さぐらいが便いやすいでしょう。

 

こて台

 ハンダごてのこて先とヒーターカバーは大変熱くなるので,これを保持する台が必要です。市販品にはこて先が筒の中に入って直接接触しないように保護するカバーのあるものがあり,大抵はスポンジを入れる容器が付いています。スポンジはこて先の熱酸化した部分を拭き取るのに便います。最近のこて先はハンデがメッキされていて,簡単に拭き取ることができます。こて先の拭き取りにはスポンジ以外に,台所で便う金属たわしも便利です。

 

ハンダ

 おもちやの修理に使うようなハンダ付けは,大抵は細い配線部分の接続や,小さい部品の取り付けなど,面積の小さなハンダ付けが主なものです。広い面積の,あるいは長い距離のハンダ付けはほとんどないと考えてもいいようですから,これに使うハンデも市販のヤニ入り糸ハンデです。大さもいろいろありますが,1mm~2mmくらいのものが使いやすいと思います。あまり太いと細かい作業がやりにくくなります。ハンダは鉛と錫の合金で,その混合比率によって溶ける温度や硬さが変わります。錫含有量60%前後の物が一般の電気配線用に適当のようです。

 我々がハンダ付けをする金属は,銅,真鎗,ブリキ,鉄などがその主なものです。

 熱によって発生する酸化物質がきれいに洗い流され,溶けたハンダが金属の表面に濡れたように広がるのを,糸ハンデの中に含まれているヤニが肋けます。

 ステンレス,アルミニウムなどのハンダ付けにはそれぞれ専用のヤニ,フラックスが準備されています。そのときにはハンダごても専用のものを使ってください。しかし多分,おもちやの修理には必要ないでしょう。

 

 

ハンダ付けの要領(動画)をご覧ください。

 

6.やすり

 やすりはいろいろな材料やパーツ,部品などを削るときに使います。金工用,木工用があります。おもちやの場合には金工用でいいと思います。形,大きさはいろいろですが,平やすりと丸やすりがあれば大抵の場合十分です。

 やすりは金属,プラスチック,木材などを削りますが,使った後は必ず目に詰まった削りかすをきれいにブラシで取っておいてください。そのままにしておくと錆の原因になったり,つぎに使うときに目詰まりのためうまく削れなくなります。ブラシはワイヤーブラシや歯ブラシの古いものなどです。

 最近では100円ショップで売っているものも意外と使い勝手が良いです。

 

7.ハサミ

 おもちゃに使われている素材あるいは修理に使用する材料を加工するためのハサミには紙も切れ,また金属板も切れるようなものがいいと思います。幸いにも市販品の中に万能ハサミと称するハサミがありますので,これを1丁持っているときわめて重宝します。

 ハサミも他の刃物類と同様に,手入れ次第で相当長い間使うことができるので,なるべくいいものを買って使うことをお勧めします。ハサミの刃は研げば切れ味がぐんと良くなります。しかし,ハサミを研ぎ直して使っている一般家庭の方々は本当に少ないようです。

 

8.カッターナイフ

一般事務用のもので十分です。材料やパーツなどを切る,削るような作業をするときに使います。

 形,大きさも市販品の中には種類が多いですが,使い慣れたもので十分です。

 刃の折り取れるものと折れないものとありますが,折れないものも切れが悪くなってきたら研ぎ直せば相当長い間,10年またはそれ以上も使えます。

 

9.テスター

   電気,電池を使ったおもちゃが圧倒的に多い昨今,故障の修理にはテスターがないと全くといっていいほど作業ができません。ぜひ,一台は準備しておいてください。

   市販のテスターには,いろいろなものがあります。おもちゃの修理に使うテスターは大抵どのようなものでも差し支えありまん。使いこなせるのなら高級なものでも,あるいは,簡単なものでも結構です。専門家が正確な使い方をしなければならないようなことと比べると,おもちやの場合には少しぐらい誤差があっても(ないに越したことはありませんが),十分後に立ちます。持って歩くことを考えれば,小型のもので使い方に習熟しているほうがよいのではないでしょうか。以下にもっとも多い使い方をいくつか説明します。これはほんの基本的なことです。慣れてくれば順次応用ができるようになり,さらに難しい使い方もわかってきます。

 テスターには,電圧を計る,電流を計る,抵抗値を計る,の3つの基本的機能が必ず付いています。そのほか,それぞれより高度な使い方のできる機能が付いているものがあります。おもちゃの修理ではこの3機能が使えればまずOKということです。

10. ラジコン電波・赤外線の検波器とスピーカーテスター

 これが無いとラジコンや赤外線でコントロールしているおもちゃの診察が出来ない。必要な機器と言っても良い。

 市販品ではないので当院のドクター養成講座の制作実習で作っている。