2.コネクタ(接栓、接栓座)

 

おもちゃの修理の世界ではあまり必要はありませんが、何かを新しく作る場合には覚えておいて損はないので簡単に説明します。

 

コネクタはある程度独立した機器と機器、基板と基板を接続したり、配線材と機器などを接続したりする場合に用いられます。このためオスとメスがあるのが普通です。用途、構造、大きさ、規格などで様々なものがあります。

 

(1)コネクタ形状

 コネクタの形状により以下に分類されます。

 

 

ア.接栓

 ケーブルに取り付けられる側のコネクタです。開口部形状により、プラグジャックに分類されます。プラグとジャック、プラグとレセプタクルの組合せで結合することが出来ます。

 

イ.接栓座

機器、パネル等に取り付けられる側のコネクタです。レセプタクルはジャックと同じ開口部を持ち、プラグと結合が可能です。ケーブル取り付けタイプのパネルジャック、開口部がプラグ形状のプラグレセプタクルもあります。

 

ウ.アダプタ

 異なる種類のコネクタを互いに接続するための、各種のアダプタ(変換コネクタとも呼ぶ)があります。加えてケーブルの方向を変更する為にL字型になったものや、配線を分岐するためのコネクタや空端子につける終端型のタイプもあります。

 

エ.極性

 上記各々に極性があり、芯線の接続部が凸になっている側が"male""ピンインサート"等と呼ばれオスです。一般に挿す側になります。

 逆に、芯線の接続部が凹になっている側がメス"female""ソケットインサート"等と呼ばれる。一般に挿される側になります。 コネクタの型番にM/Fの表記を用いてオス/メスの区分を明示していることが普通です。

 

(2)用途別の分類

 主としてどのような用途に用いられるかを基準とした分類になります。

 

ア.コンピュータ用コネクタ

 コンピュータの内部或いは周辺において活用されているコネクタです。

 

USBコネクタ

 USBと呼ばれる規格に基づいたコネクタで、USB1.0USB2.0USB3.0の規格が定められています。信号伝送用です。最近では携帯電話のコネクタとしても有名です。電源を接続する場合にはUSB2.0までは0.5A迄が限界ですが、USB3.0では1Aまでに拡張されています。接続部の電流容量からこれを超えて使用することは現に慎まなければなりません。

 

形状は、大きく標準型、ミニ、マイクロの3種類、開口部の形状からA型、B型があります。2.0規格と3.0規格では形状が全く違い、互換性はありません。

 

・IEEE1394コネクタ

主として映像伝送用のコネクタです。

 

・D-subコネクタ

 コンピュータの世界では古くからあるRS-232C規格の信号を接続するためのコネクタです9PINのものと25PINのものがあります。シリアルインターフェースとも呼ばれますが、最近ではレガシーインターフェースと呼んでこのコネクタを持たないコンピュータもあります。

 

・リボンコネクタ(アンフェノール型コネクタ)

すだれ状の平らな細線を接続するためのコネクタです。信号をパラレルに送ることが出来るため古いコンピュータではよく使われていました。

 

・エッジ・コネクタ

古いコンピュータで子基板を親基板に接続する際に、基板の端に接続用の端子を設け、ここに差し込む形で使われていたコネクタです。カードエッジに接続することからエッジ・コネクタと呼ばれました。

 

・PS/2コネクタ

IBMが作った初期のパソコンのキーボードやマウスの接続用として採用されましたがIBMのパソコンがIBM-PCとしてパソコン界を席巻したため後発のIBMクローンPCでも全面的に採用されキーボード、マウス用のインターフェースとして一般的になりました。丸形の5PINのコネクタです。

 

・DINコネクタ

音楽や映像伝送用のコネクタです。MIDI機器など音楽用の通信インターフェースとしては標準的なものですが一般的にはなかなかお目に掛かることは少ないようです。

 

イ.通信用コネクタ

 

・モジュラープラグ・ジャック(RJ-11)

電話機に使われているコネクタです。形状は後述するLANコネクタと似ていますが一回り小降りになっています。

・DSコネクタ

基板と電線を直接繋ぐコネクタで、線は基板に平行に取り出すことが出来ます。背が低く実装できますので高密度実装に有効です。

・LAN端子(RJ-45)

LANには10BASEとか100BASE1000BASEと呼ばれる規格が定められており数字の部分は伝送速度を表しますがBASEの後ろにも規格を示す符号がついていて、現在一般的なのは-Tと言う規格です。この-T規格のネットワークではハブと言うものが必要になりますがハブとハブ、ハブとコンピュータをRJ-45と言う規格のコネクタで接続します。-2規格では基幹となる線に5Dタイプの同軸を使用しAIUと呼ばれるトランシーバを同軸に噛ませて端末に接続します。-5規格ではケーブルに3Dタイプの同軸を使用し、ディジーチェーンで端末を接続して行きます。-T規格は延伸できる長さが数百mと短いのですが取り扱いが簡便なので現在では端末機の接続では主流となっています。

・光通信用コネクタ

光ファイバーは接続する場合、単純に繋ぐということが出来ないためLCMPOMTMUSCSCFFCSTMT-RJ等のコネクタを使う必要があるため種類が多くなっています。

 ・RS232C(D-Sub 25pin, 9pin)

コンピュータの項で触れましたが、RS-232Cと言う規格はシリアルデータ伝送用の規格なのでパソコンに限らずビット単位でのデータ伝送であれば広い分野で利用されています。

 

※シリアルデータ伝送とは伝送する信号を1ビット単位の連続したデータ列にして送受信するデータ伝送のやり方でやや時間はかかるものの通信ラインが2本の線で構成できるため簡単に信号を伝送できるやり方です。これに対して伝送する信号を一つの意味のある塊にして送るやり方をパラレルデータ伝送と言います。パラレルデータ伝送においては8ビットパラレル伝送では最低でも8本の信号線が必要となります。シリアル伝送よりは伝送に要する時間が短いのですが、ごく短い距離でないと信号が化ける可能性があることと各信号線の長さを同じにして同期させる必要があるためプリンターポートから印刷機まで位の距離の伝送が一般的です。

・V35コネクタ

シリアルデータ信号の伝送に使われます。主としてネットワークシステムとネットワーク内にあるシリアル機器との接続のために用いられています。

 

ウ.音声・映像用コネクタ

・フォンコネクタ(標準・ミニ・ミニミニプラ 

   グ・ジャック)

主に音声信号用に用いられます。プラグの直径が2.5mm3.5mm6.3mm3種類、それぞれモノラル・ステレオ用があります。一般に6.3mmを標準プラグ・ジャック、3.5mmをミニプラグ・ジャック、2.5mmをミニミニプラグ・ジャックと呼ぶことが多いです。ジャックには、プラグを差し込むと接続が切れる接点が設けられて、内蔵スピーカー等との切り換えができるようになっているものもあります。逆に接続されるような接点構成になっているものもあります。標準プラグ・ジャックは一部のマイクやヘッドホン及び楽器など、ミニプラグ・ジャック、ミニミニプラグ・ジャックはパソコンやポータブル機器に多く用いられます。

・RCAコネクタ(Rカプラグ・ピンプラグ・ ジャック)

音声・映像信号用のコネクタで、民生用AV機器のほとんどに用いられています。映像用が黄(コンポジット)、音声の左チャンネルが白、右チャンネルが赤と決められています。モノラルの場合は黒です。S/PDIFのようにデジタル音声信号を流すものもあります。

 

・DINコネクタ

音声の入出力あるいは電子楽器のMIDI端子として5ピンの物が用いられます。

・ミニDINコネクタ

映像信号のS端子用として、4ピンの物が用いられます。サイズは標準型DINコネクタを一回り小さくしたものになっています。

 

 

・XLRタイプ・コネクタ(キャノンコネクタ)

業務用音響機器で標準的に用いられる音声用コネクタです。特にマイクロフォンの接続では標準的なコネクタです。通信用としてはアナログのデータ伝送として機器と機器を結ぶ場合に標準的に用いられます。

 

エ.電源用コネクタ

 

電源を供給する為のコネクタ、電子・電気機器用としては以下のものがあります。

 

 

・AC電源用コネクタ:配線用差込接続器(コンセン

   ト)、商用電源(日本では交流100V)を機器へ接続する為のもの。いわ

    ゆる電源プラグとコンセントです。

・DC電源用コネクタ:商用電源からACアダプタと呼ばれる機器で降圧整流 

 ( 電圧安定化)した2次側のものを機器へ接続する為のもの。昔は極性や

    寸 法がまちまちで混同し、機器の故障を起こす事も多くEIAJにより規

    格化 されました。

 

同心円に配置された2極の導体を接触させる物が多いが2極以上としたものや、電極がピン形状の物など多種存在します。

 

DC電源用としてEIAJにより規格化されたものは中心電極がプラス極、外周電極がマイナス極となっていて、電圧区分で大きさを変えることで誤接続ができない構造となっています。ACアダプタは機器の専用のものを使う必要があり破損等の理由で再購入する場合は機器指定の物を購入しなければなりません。

 

ACアダプタにより降圧しただけの交流を接続するものも存在します。

 

・タミヤコネクタ

製造は日本圧着端子製造株式会社ですが、タミヤが自社製品のRCカーに採用した事で、通称としてタミヤコネクタと呼ばれるようになりました。プラス側が正方形、マイナス側は丸みを帯びた形で、逆接続を防止しています。最大定格電流は15A、最大定格電圧は300Vです。

 

・T型2Pコネクタ

タミヤコネクタより許容電流が大きく、ラジコンなどによく採用されています。電源側をメスコネクタとするのが通例で最大許容電流は50Aです。

 

・XTコネクタ

対応電流によってXT30XT60XT90といったバリエーションがあり、XT60が一般的です。マルチコプターのリポバッテリーによく採用されています。XT60の耐電流は80A以上です。

 

オ.同軸コネクタ

 

同軸ケーブルを接続するためのコネクタです。主に高周波領域において使用されます。
• BNCコネクタ
バヨネット型のロック機構を持つコネクタです。周波数特性が比較的良く、小型にできるため計測用、通信用、映像信号用などに最も多く使われています。ネジを使わず、一挙動で簡単にロックできる機構(バヨネットタイプ)を持つため着脱が容易です。太い同軸ケーブルには不向きであり、適合同軸ケーブルは1.5D~5Dです。計測用、通信用では特性インピーダンスが50Ωのものが標準ですが、映像信号用では75Ωのものが使用されコンタクトピンの径が50Ωのものより細くなっています。特性インピーダンスが75Ωの同軸ケーブルは3C、5Cと言う名称が用いられます。適用周波数上限は製品により異なりますが、~4GHzまでを想定しています。
• M型コネクタ
主に無線通信・計測機器に古くから使われているコネクタです。M型コネクタは特性インピーダンスが規定されていないため安価ですが、300MHz以上の伝送には不向きで主にVHF帯以下の周波数で用いられています。
• N型コネクタ
主に無線通信・計測機器に用いられているコネクタです。周波数特性が良く、主にUHF帯に用いられています。特性インピーダンスが50Ωのものが標準ですが、75Ωの物もありコンタクトピンの径が50Ωの物より細く作られています。軍事的な用途を想定して1GHzまでの電気信号を伝送することができるように当初設計されました。現在は、適用周波数上限は製品により異なりますが、18GHzまでを想定しています。
• TNCコネクタ
BNCコネクタのロック機構をネジ式にしたものです。N形コネクタよりも小型で、SMAコネクタよりも取り扱いが容易であるため、自動車電話用無線機のアンテナの接続などに用いられています。
• F型コネクタ
テレビの受信用に用いられるコネクタ。特性インピーダンスは75Ωです。ネジ式のものとそうでないものがあり、ネジ式のものをF型コネクタ、そうでないものをストレートプラグ・クイックプラグなどと区別する場合があります。テレビ、ビデオ機器などに用いられています。
• SMAコネクタ
主にマイクロ波の無線通信機器に古くから使われているコネクタで特性インピーダンスは50Ωです。適用周波数上限は製品により異なりますが、18GHzまでを想定しています。締結には専用のトルクレンチが用いられます。「Sub Miniature Type A」の略。
• SMBコネクタ
主に基板上など機内に使われているコネクタ。特性インピーダンスは50Ωです。「Sub Miniature Type B」の略で、ネジではなく押し込むことによりロックされる機構をもちます。
• SMCコネクタ
主に基板上など機内に使われているコネクタ。特性インピーダンスは50Ωです。「Sub Miniature Type C」の略でネジで嵌合されます。。

 

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