2.キルヒホッフの法則
キルヒホッフの法則は、電気回路において任意の節点(ノード)に流れ込む電流の総和、および任意の閉路の電圧の総和に関する法則です。線型回路、非線型回路を問わず成り立ち、電気工学で広く用いられます。
ドイツの1845年物理学者グスタフ・キルヒホフが発見しました。
キルヒホッフの法則には電流則と電圧則があります。両法則ともマクスウェルの方程式から直接得ることはできますが、キルヒホッフはマクスウェルに先行して、代わりにゲオルグ・オームによる研究を一般化しました。
2.1 キルヒホッフの第一法則(電流則)
電流に関する法則であり、「回路上のある一点に流れ込む電流の総和と、そこから流れ出る電流の総和は等しい。」というのがキルヒホッフの第一法則になります。
どういうことかと言うと、下図を見てください。
左のような回路があったとき
I1 から I3 までがA点に流れ込む電流で、I4がA点から流れ出る電流であるとすれば
I4 = I1 + I2 +I3 が成り立ちます。
また、上の式を変形すると I1 + I2 + I3 – I4 = 0になりますので、「A点の電流の総和は0になる」と言う考え方もできます。
節点(ノード)法則、KCL ( Kirchhoff's Current Law)と言う事もあります。
「流れ込む電流と流れ出す電流の和は0である」と「流れ込む電流の和と流れ出る電流の和の大きさは等しい」は符号を統一するかしないかの違いで両者は同じことを言っているわけです。
2.2 キルヒホッフの第二法則(電圧則)
電圧に関する法則であり、「ある閉回路の電源電圧(起電力)の総和と、負荷で消費される電圧(電圧降下)の総和は等しい。」というのがキルヒホッフの第二法則になります。
左の図のような回路があったとき
I1 x R1 + I2 x R2 = E1 + E2 が成り立つのがキルヒホッフの第2法則です。
ここで、I1 と I2 の電流の向きに注意して下さい。
E1 と E2 は図上で同じ向き(回路的には逆向き)に接続されていますので図の電流の向きに従えば E1 はマイナスの電圧になります。
計算のために閉回路を辿っていく向きは、自分で勝手に決めて考えてください(この図では右回りになっていますが、右回りでも左回りでも答えは同じになります)。
同様に電圧に関しても同じで、実際に左の図のように電流が流れていた場合 E1 には逆方向に電流が流れるので、この回路の実際の起電力の合計は E2 + ( - E1 ) になります。
左図において仮に電流の向きを右回りで考えた場合(回路の真ん中に右回りの円を描いて見て下さい。)には E2 + ( - E1 ) = I1 x R1 + I2 x R2 となります。
仮の向きを左回りで考えた場合には I1 と I2 の向きが逆になるので電流にマイナスをつけて式を書き、 E1 + ( - E2 ) = ( - I1 ) x R1 + ( - I2 ) x R2 となります。
一見、計算結果が異なってきそうに見えますが、式を変形すると同じになるので、仮に設定する電流の向きは適当にしても正しい答えを導くことが出来ることが分かると思います。
閉路(ループ)法則、KVL(Kirchhoff’s Voltage Law)と言う事もあります。