ECM(エレクトレットコンデンサーマイクロホン)用テスト機器の製作

 

おもちゃ等の小型機器には、廉さと小型なのが特長のエレクトレットコンデンサマイクと呼ばれるものが多く使われています。

  故障は少ないかもしれませんが、診療に際して、故障かどうかの判別には一工夫が必要となります。オシロスコープが在れば簡単ですが、単純にテスターなどで測っても判別できないのです。その為に実際に故障判別ができる機器が必要になります。その理由を原理から説明します。

 

コンデンサマイクの動作原理

コンデンサマイクの動作原理を図1に示します。2枚の電極でコンデンサを形成したものに音声(音圧)を加えるとこれに応じた電圧の変化が現れ、これを電気信号として取り出します。

コンデンサマイクと原理も構造も同じですが、ECMにはエレクトレットという特殊な誘電体が使われます。
 磁性体にはソフト材料(軟磁性体)とハード材料(硬磁性体)がありますが、面白いことに似たようなタイプの違いが、誘電体にも存在します。誘電体とは電界を加えると、プラスとマイナスの電荷に分かれる(誘電分極)する物質のことです。簡単にいえば絶縁体はすべて誘電体です。誘電体にはさまざまな種類がありますが、ある種の絶縁体は電界によって、プラスとマイナスに分かれる誘電分極をそのまま保持するものがあります。まるで磁気分極を保つマグネット(永久磁石)を思わせるのでエレクトレットと名づけられました。
 エレクトレットは新材料ではありません。1924年、日本海軍技術研究所の江口元太郎により、カルナウバ・ロウ(カルナウバ椰子から採取される天然ワックス)を松脂などで固めた材料において初めて発見されました。通常のコンデンサマイクでは外部から電圧を加えて誘電分極を起こす必要がありますが、誘電分極しているエレクトレットはその必要がなく、小型化も可能なので携帯電話等に採用されているのです(エレクトレットとしては各種の高分子材料が利用されています)。
 現代エレクトロニクスを支えるハイテク材料も、意外と古いルーツをもっているものですね。エレクトレットタイプは小型化が容易で通話用途なら豆粒大まで実用化されています。

 

一般的にコンデンサを形成させるための電圧(電源)は数10V~数100V必要になります。ECMは必要とする高圧電源が不要になるのが特徴の1つです。ECMはマイク出力をそのまま接続することは出来ないのでマイク内部にインピーダンス変換用のIC(FET)を内蔵しています。マイク本体の接続ピン数により「2線式」、「3線式」があります。内部IC(FET)への電源を2線式は負荷抵抗RLから供給し、信号出力も兼ねています。これにより(端子)線は2本になり、直流カット用コンデンサが必要です。

 

3線式は電源供給専用の線(端子)になり、信号およびGNDと合わせて3本(線)です。また、負荷抵抗RLを外部にて接続しますが、3線式は内蔵したタイプもあり、データシートでの確認が必要です。負荷抵抗RLの値は各ECMで最適値が推奨されていて、マイクの出力インピーダンスはほぼ負荷抵抗RLの値になります。図2に使い方を示します。

 

 

「製作するテスト機器」について

 故障かどうかの判別には、実際にアンプに繋いで音声を聞いてみる方法とします。所謂アンプを作ります。騒音の有る診療の現場を配慮してイヤホーンで聞いて確かめるものとしました。音質などは考慮しないで聞こえて良否が判別出来るだけとして部品を減らしました。

 電源電圧は乾電池2本の3∨としました。実際の診療で判別しなければならないECMは色々な規格のものがあると想いますが、おもちゃに実装されているECMの多くが二線式なので、ここでは秋月電子で販売している2線式エレクトレット・コンデンサー・マイクロフォンC9767BB422LFPを想定しました。規格が合わないものは判断が難しいと想います。テストして聞こえないからと言って直ちに故障と判断しないで下さい。オシロスコープで今一度判定することをお勧めします。

 

製作は2種類を考えました。

① 1.2Wアンプ「HT82V739」を使ったもの

② オペアンプ「LM358N」を使ったもの

何れも秋月電子で購入できる物で考えまし。

製作してみて感じたことですが、①のアンプを使ったもののほうが良いように感じます。②は細かい調整をしないままの状態ですので諸兄が調整されましたら連絡を頂けると有り難いです。

 

回路図を示します。

① 1.2Wアンプ「HT82V739」を使ったもの


 

② オペアンプ「LM358N」を使ってLEDの変化で診る検査器です。

部品配置と結線図